ご挨拶|金澤翔子美術館

館長のご挨拶金澤翔子は、1985年、東京都目黒区に生まれました。5歳で書道を始め、一つの目標であった個展を2005年に銀座書廊で初めて開くことが出来ました。それは翔子の父、金澤裕の夢でもありました。
思えば、終わりのはずの個展がきっかけとなり素晴らしい人たちと出会い、未知の世界へと踏み出す、新たな書の道の「出発点」になったようです。この時「素晴らしい書家になってもらいたい」という思いが湧き上がり、今はその思いを母娘が共有するようになりました。
金澤翔子はダウン症という天与の宇宙をもって書の道を歩んでいます。これまでの道のりは決して平坦ではありませんでしたが、彼女の「天性の明るさ」、「場を生み出す技術」は書家としての原点になっているようです。
この度いわき市遠野の地、日本一広い敷地を所有する「きもの乃館 丸三」様の協力を得て、金澤翔子美術館を開設するに至りました。当館は日本で初めての金澤翔子の常設館です。
本展覧会に展示される作品は金澤翔子の力作で構成されています。また、展示されたことのない、これから話題になるであろう最新作なども展示してありますので、存分にご鑑賞下さい。
翔子の父は、初めての個展を家族と一緒に見ることは叶いませんでしたが、翔子は「大丈夫、お父様は天国から全部見ているから。」といっていました。金澤翔子美術館の開館もきっと優しく見守ってくれていると思います。
開館にあたり、ご協力を賜りました関係各位に心からお礼申し上げます。

平成23年12月1日
金澤翔子美術館 館長  金澤泰